水道料金 20年余先には全国96%の事業者で48%の値上げ必要か
水道事業は、施設の老朽化や人口減少などにより厳しい経営状況が続いています。
研究グループによると、今から20年以上先には96%の事業者が料金を値上げし、平均で48%の値上げ率が必要とされています。専門家は、将来の値上げを避けるために定期的な料金見直しを進めるべきだと指摘しています。
自治体の水道事業を支援する研究グループは、3年ごとに将来の水道料金の変動を試算しており、最新の結果を公表しました。2021年度のデータや将来の人口推計を元に、2046年までに赤字を回避するために必要な料金を計算しました。
試算によると、96%の事業者が値上げが必要であり、全国平均で48%の値上げ率が見込まれます。特に人口減少率が高い地域や人口密度が低い地域では、値上げ率が高くなる傾向があり、料金の格差も広がると予測されています。
研究グループは、地域間だけでなく世代間の格差も広がる可能性があると警告し、水道事業の維持や利用者への説明・理解を求める取り組みが必要だとしています。
専門家「先送りにするほど将来の値上げ率は大きく」
[Ournper.com] 東京大学大学院工学系研究科の水道行政に詳しい滝沢智教授は、長期にわたるデフレの影響で物価が上昇せず、水道料金の引き上げが難しい時代が続いてきたと述べています。事業者は人件費削減などでしのいできましたが、限界に達し、経営課題に直面する必要があると指摘しています。
さらに、先送りすればするほど将来の料金値上げ幅が大きくなり、負の遺産を残すことになると述べています。
事業者は定期的に料金体系を検討し、必要な値上げを検討するだけでなく、施設更新を絞るなど効率化を図ることも重要だと強調しています。自治体や事業者、住民が協力して水道事業の在り方を考える必要があると述べています。